最近ではフランチャイズ経営を取り入れている企業も増えてきており、新たにフランチャイズ経営を始めたい、という方も多くいらっしゃることでしょう。それでは、フランチャイズ経営に成功しやすいのはどのような人なのでしょうか。今回は、フランチャイズ経営の成功例と失敗例を紹介しながら、どのような人が向いているのか、その特徴についてお伝えしていきます。
フランチャイズ経営は楽に成功できる?
現在、コンビニエンスストア、ハンバーガーショップや牛丼店、介護施設や学習塾など、様々な分野で幅広くフランチャイズ経営が取り入れられてきています。では、フランチャイズ経営とはどのような経営のことを言うのでしょうか。
フランチャイズ経営とは、商品の開発や経営ノウハウの提供などはフランチャイザー(本部)が行い、それをもとにしてフランチャイジー(加盟店)が実際の経営を行う形態のことです。実際の経営まで本部によって行われている直営店とは違った経営スタイルになります。経験のなかった業界にも、ブランド力を持った大手の経営指導を受けながら参入することができるのが大きなメリットです。
「商品の開発もノウハウの提供もフランチャイザーが行ってくれるのなら、きっと楽に成功できるはず」と考える方もいるかもしれません。しかし、フランチャイズ経営は本当に楽に成功できるものなのでしょうか。
その答えは「決して楽に成功できるわけではない」です。確かに、商品を自分で一から開発する必要はありませんし、ノウハウもすでに用意されているので、楽に経営を行えるように感じるかもしれません。しかし、実際に経営を行っていくのはあくまでも自分自身です。いったん経営を始めると、それを軌道に乗せるまでには10年はかかると言われています。その間にはいくつも困難な状況にぶつかりますし、そのたびに忍耐力が求められることになります。
フランチャイズ経営は、成功するまでの道のりを隣でサポートしてくれる存在がある経営スタイルと言えるでしょう。サポートが常にあるので、気持ちの面では少し楽にはなるかもしれません。しかし、経営していく上で発生する困難は自分で乗り越えていかなければなりません。成功するのが楽というわけではないのです。
フランチャイズ経営の成功例
フランチャイジーは、たった一つのフランチャイザーにしか加盟できないわけではありません。複数のフランチャイザーに加盟したり、いくつもの店舗を経営したりといったことが可能です。加盟しているフランチャイザーの数や経営している店舗数が多いフランチャイジーのことを、「メガフランチャイジー」と呼びます。メガフランチャイジーになることができたなら、フランチャイズ経営で成功を手にしていると言うことができるでしょう。
あるフランチャイジーの実例を挙げます。この方の場合、50歳目前で勤めていた企業を退職し、「他店にはない感動できる商品やサービスがあること」「伸び盛りで、街に出るとそのブランドの店をよく見かけること」「フランチャイジーへのサポート体制がしっかりしていること」などを条件にして加盟するフランチャイザーを選びながら、これまで事業を拡大してきました。現在では6社にフランチャイジーとして加盟し、15店舗を経営し、年商は9億円ほどになっています。フランチャイジーとして加盟している分野は、飲食店、学習塾、フィットネスクラブなど多岐に渡っています。何をもって成功したと言うかは人それぞれで違ってきますが、ここまでになれば明らかに成功例と言ってよいでしょう。
ただし、このような方の場合でも、最初から楽に成功しているわけではありません。必ず困難な状況にぶち当たっているのです。例えば、伸び盛りのブランドであることを条件にしてフランチャイザーを選び加盟したとしても、そのブランドの知名度がそれほど高くないうちは集客に苦労するということも十分にあり得ます。そうなれば、経営の資金が不足してくることも考えられます。そのような状況に陥った時に、どれだけの忍耐力を持ちながら困難な状況の打開のために努力していけるかが、成功への鍵の一つになると言うことができるでしょう。
フランチャイズ経営の失敗例
ここまでは成功例をお伝えしましたが、フランチャイズ経営は成功例ばかりではありません。フランチャイジーになってから5年後の生存率は70%ほどと言われています。この割合は一見高いように感じますが、裏を返せば、30%ほどのフランチャイジーはフランチャイズ経営に失敗しているということがわかります。それでは、どのような失敗例がよく見られるのでしょうか。以下に紹介していきます。
まず挙げられる失敗例は、「全く経験のない業界に参入してみたら、自分には全く向いていなかった」というものです。経験のない業界にもフランチャイジーとして参入できることは、先ほどお伝えした通り大きなメリットでもあります。しかし、参入した業界が自分に向いているかどうかは未知数です。「いざ参入してみたら全く向いていなくて、ただ苦しいだけだった」という状況に陥ってしまうリスクも大いにあります。このリスクを避けるためには、ある程度経験のある業界か、それに近い業界を選ぶとよいでしょう。もしくは、参入したい業界で数年働いてみれば、向き不向きを判断できるはずです。未経験の業界に参入してはいけないわけではありませんが、リスクを減らすためには避けた方がよいでしょう。
続いて、「スーパーバイザーの指導に従わなかった」というのも失敗例として挙げられます。フランチャイジーになると、開業してからもスーパーバイザーがついて経営について指導を行ってくれます。スーパーバイザーが指導してくれることは、本来とても心強いことです。しかし、その指導に従わないフランチャイジーが存在するのも事実です。例えば、スーパーバイザーが自分よりずっと年下だったりすると、話を聞き入れられず指導内容に反発したくなるフランチャイジーもいます。このようになってしまうと、フランチャイザーとの良好な関係が保てないだけでなく、経営そのものの悪化まで招いてしまいます。スーパーバイザーはどんなに若くても経営に関してはプロです。その指導には必ず従いましょう。
最後に挙げるのは、「人材の育成が上手くいかなかった」という失敗例です。開業したての頃であれば、自ら現場に立って他のスタッフを指導することも大切です。しかし、ずっとそれをやり続けていると、かえって人材が育ちにくくなってしまいます。現場を任せられる人材が育っていなければ、本来の仕事である経営に力を注ぐことができません。その結果として業務を拡大させることができず、経営が行き詰ってしまうこともあります。ある程度経営が軌道に乗ってきたなら、現場を任せられる人材を育て、自らは経営者としての仕事に専念するのがよいでしょう。
フランチャイズ経営に向いている人の特徴
フランチャイズ経営に向いているのは、どのような人なのでしょうか。一言で言うと、「フランチャイザーとの良好な関係を築ける人」です。
フランチャイザーからは円滑な経営のために多くのノウハウが提供されます。そのノウハウをよく理解し、徹底してそれを守ることができるということが成功の大前提です。ただし、それだけではフランチャイズ経営を成功させるのは難しいでしょう。ノウハウはもらえても、実際に経営を行っていくのは自分自身です。提供されるノウハウはしっかり守りつつ、状況に応じて自ら考えて行動していけることも大切です。
ここまでのことができて初めて、フランチャイザーとの良好な関係を築けるようになります。言われた通りに動くことと、自ら考えて動くことの両方をできるということが、フランチャイズ経営に向いている人の特徴と言えるでしょう。
これらの逆を考えれば、どのような人がフランチャイズ経営に向いていないかも見えてきます。自分が考えるままに経営を行いたい人、スーパーバイザーの指導を聞き入れることができない人、逆に指導をすべて鵜呑みにしてしまって言われた通りにしか動けない人などは、残念ながらフランチャイズ経営に向いているとは言いにくいでしょう。
まとめ
ここまで、フランチャイズ経営の成功例と失敗例を紹介しながら、どのような人がフランチャイズ経営に向いているのかについてお伝えしてきました。決して楽とは言えないフランチャイズ経営ですが、提供されたノウハウを忠実に実践しながら自ら考えて動くことができる人であれば、成功できる可能性は十分にあるでしょう。
「油そば ぶらぶら」では、フランチャイズ経営に関するご相談にも応じています。これからフランチャイズ経営を始めたいという方は、ぜひ気軽にご相談ください。