独立して開業を考えている方のなかで、飲食店を目指している方は多くいます。しかし、飲食店を開業しても、すぐにお店がなくなってしまうといった光景もよく見かけます。せっかく開業するのであれば、長く続く飲食店を目指したいものです。今回は、失敗しない飲食店を開業するために、準備しなければならないことをご紹介します。
お店のコンセプトを考える
独立して開業するとき、どんな業種であっても「コンセプト」は、しっかり考えなければなりません。お店のコンセプトは、開業する立地や作りたいメニューなどでもさまざまです。なんとなくのイメージだけではなく、具体的にコンセプトを作り上げておくことで、目指すべきお店像をイメージしやすくなるでしょう。
コンセプトを考える際は、以下の項目をしっかり考える必要があります。
- 出店エリアはどこにするか?
- どんな料理を提供するのか?
- どの客層に向けて提供するのか?
- 営業時間や定休日はいつにするのか?
- どういった場面で利用してもらうのか?
- 販売形式はどうするか?
- いくらで提供するか?
コンセプトの重要性
コンセプトを設定することによって、開店した後も迷走することなく、軸のぶれない経営をすることができます。軸がぶれてしまうと、極端な例として和食店のはずが中華料理を提供していたということになりかねません。
また、お店の名前にこだわりたい食材を採用したのに、提供している料理にはその食材が使用されていないなど、コンセプトがしっかりしていないとお客様に価値を伝える機会を逃してしまいます。
コンセプトをしっかり決めることによって、お客様に覚えてもらうための店名を決める基準にすることができます。ほかにも、コンセプトに合わせた内装や、共感してくれる仲間を集うこともできます。
コンセプトが一貫しており、お客様に分かりやすいお店を作ることで、口コミや評価を受けやすくなります。
アイデアとコンセプトは別物
やりがちな失敗が、アイデアとコンセプトを混同してしまうことです。例えば、こだわりの食材を使った料理を提供するといったアイデアは、とても大切です。このようなアイデアは、コンセプトを決める上での大切な材料となります。
アイデアとは「お客様に提供する商品やサービス」をいい、コンセプトは「お客様が実際に食べに来たくなる理由」です。アイデアに一歩踏み込んだものが「コンセプト」として考えましょう。
店舗物件を確認する
独立して開業する場合、店舗物件は重要なものになります。自分のお金で自分のお店を持つというのは、開業する上で一番ワクワクする場所ともいえます。しかし良い立地の物件であるほど、賃料が高くなってしまいます。結果として、予算よりも高くて手が出せないといったこともあり得ます。
また、店舗の面積が広ければ広いほど、物件の賃料は高くなる場合もあります。人気の物件自体が空き店舗になることも少なく、店舗を巡る競争となってしまいます。店舗物件を借りる際は、ある程度立地が良いのはもちろんですが、家賃を払い続ける上で負担にならないことも大切です。
家賃は、経営していたら必ず掛かる固定費用になります。たとえ業績が著しくなくても、必ず払っていかなければなりません。立地がよく家賃がちょうど良い物件を見つけるためには、実際に物件を見て決めることが大切です。最低でも10件以上の店舗を見てまわりましょう。
周辺施設の属性を見極める
コンセプトを決めたら、自然とお店のターゲットになる客層が具体化されます。たとえばオフィス街に建っているお店のターゲット層は、仕事のお昼休憩に1人で食事をとる方です。また、夜には会社の人や、個人でお酒を楽しむ居酒屋が集客することができます。
商業施設付近であれば、子連れの家族や2人以上で利用するお客様がメインターゲットとなります。このように、コンセプトに合った周辺施設を見極め、その付近に最適な立地を探すようにしましょう。
立地ごとの飲食店の需要を考える
たとえば駅前の集客率を見込んで駅前に店舗を構えたとしても、飲食を目的としたお客様が少なければ経営が困難となります。場所ごとの飲食需要が、どれだけあるかを見極めましょう。どの立地にどのようなお店の需要があるのかは、立地調査で分かります。
立地調査は、大手のチェーン店のマーケティングを参考にする方法や、開業している店の職種を把握する方法などがあります。
料理メニューを決める
コンセプトや、希望の立地に合った料理を考えていきます。料理メニューを考える際に大切なのは「通常メニュー」と「看板メニュー」の二つです。看板メニューは「お店の顔」ともいえる料理です。
「この店に来たら、この料理を食べる」と言ってもらえるような、主力のメニューを考えましょう。定番メニューについて考え付かないのであれば、自分が好きな料理や、作りたいと考えているもの、または料理のなかで一番自信を持てるものを設定しましょう。
看板メニューを先に考えることで、看板メニューが映えるほかのメニューを考えやすくなります。
原価を把握する
メニューを開発するときに大切なことは、原価を把握することです。料理1品にかかる食材の分量を、細かく単位で求めます。その求めた単位から原価計算をおこないましょう。このときひとつのメニューに付ける値段設定は、原価が販売価格の30%になるように設定することが大切です。
提供価格と原価の計算が終わったら、次は売り上げから原価を差し引いた「利益」がどれくらいかを計算しておきましょう。
食材廃棄率を把握する
食材廃棄率とは、食材が余って無駄になってしまった「食材ロス」の量を指します。料理を提供する際にこぼしてしまったり、どうしても使用できなかったりする場面は必ず出てしまいます。またキッチンで働くスタッフが使用分量を間違ってしまって、原価よりも高くなってしまうこともあります。
廃棄される食材を、あらかじめ把握することはできません。しかし、おおまかに全体の2%は廃棄分が出てしまうと考えておくと無難です。お店の軌道が乗ると、効率化が進むため食材廃棄率は次第に減少していきます。
優秀な人材を探す
飲食店で必要なスタッフは主に、「キッチンスタッフ」と「ホールスタッフ」です。お店の大きさによって異なりますが、自分が経営する店に何人のスタッフが必要か把握する必要があります。
キッチンとホールで、それぞれ何人必要なのかを把握しましょう。必要なスタッフ数が明確になれば、人件費にどれくらい必要かが分かります。人件費を計算する場合は、下記のポイントを押さえて計算しましょう。
- 時給
- 交通費
- 雇用保険料の負担額
お店で働いてもらう分の金額だけではなく、交通費はもちろん、雇用保険料についても計算に入れなければなりません。個人事業主として0から飲食店を開業する場合は、社会保険への加入は任意となります。
お店として社会保険に加入するかどうかも決めましょう。社会保険を完備することによって、優秀な人材が集まりやすくなります。また、優秀な人材を集めるためには、チラシや有料の広告掲載などを利用することで集まりやすくなります。
詳細な条件で募集をおこなえる有料媒体は、より優秀な人材が集まりやすいです。人材の教育や、働くスタッフの能力を最大限発揮してもらうために、あらかじめマニュアルを作成しておきましょう。
まとめ
飲食店で開業する場合、お店のコンセプトだけではなく、立地条件によって変わるターゲット客層を、しっかり把握しておく必要があります。スムーズに開業をおこなうために、事前の準備はしっかり済ませるようにしましょう。
また開業してしばらくは経営が安定せず、軌道に乗るまでの生活も見直していかなければなりません。その分スタッフに払う給料も、無理のない金額を設定するようにしましょう。0からの飲食店経営に不安を感じる方は、フランチャイズ店に加盟する方法もあります。
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